投稿者: mozuku.run811@gmail.com

  • 協力して役を作るのに、全員は勝てない。サーフォサウルス MAX 感想&ルール解説

    協力して役を作るのに、全員は勝てない。サーフォサウルス MAX 感想&ルール解説

    協力して、報われない。――サーフォサウルス MAX レビュー&ルール解説

    全員でポーカーの役を作れ。
    そう聞くと、協力ゲームだと思うかもしれない。

    だが、このゲームは違う。
    協力はするが、救われるとは限らない。

    『サーフォサウルス MAX(Surfosaurus MAX)』は、
    恐竜がサーフィンをするという、あまりにも軽快な見た目とは裏腹に、
    静かで、鋭く、そして残酷な判断を迫ってくるカードゲームだ。


    どんなゲーム?

    本作はいわゆる「変則ポーカー」。
    ただし、役を作るのは一人ではない。

    プレイヤー全員で、場に出たカードを使い、ひとつのポーカー役を完成させる。
    フラッシュか、スリーカードか。
    役の完成そのものは、全員共通だ。

    だが――
    得点できるかどうかは、まったく別の話になる。


    基本ルール

    ● 手番にやること

    • 手札からカードを1枚、場に出す
    • 山札からカードを1枚補充する

    これを繰り返し、
    全員が2枚ずつカードを出した時点でラウンド終了。
    そこで得点計算に入る。

    ● 役の判定(協力パート)

    場に出たすべてのカードを見て、
    「今、この場で作れる一番強いポーカー役」を判定する。

    重要なのは、
    誰の役か、ではなく「場の役」だという点だ。


    得点ルール ― このゲームの核心

    役が決まったあと、
    得点できるのは次の条件を満たしたプレイヤーだけ。

    • 自分のカードが、その役を構成している
    • その中で、数字が大きい上位4枚に入っている

    この瞬間、
    同じ役を見ていたはずのプレイヤーたちは、
    はっきりと分断される。


    数字と得点が反転するジレンマ

    このゲームをただのポーカーで終わらせないのが、
    数字と得点の逆転関係だ。

    数字が大きいカードは、残りやすい。
    得点化しやすく、安定している。
    だが、点数は低い。

    数字が小さいカードは、得点が高い。
    刺されば一撃必殺。
    だが、役が完成した瞬間、真っ先に弾かれる可能性が高い。

    安定か。
    一発逆転か。

    その選択を、
    全員が同じ場を見ながら、同時に迫られる。


    感想:協力の意味が、最後に反転する

    全員でポーカーの役を作れ。
    そう言われれば、協力ゲームに見える。

    だが、これは協力ではない。

    役は完成させなければならない。
    なぜなら、役が完成しなければ、
    全員がゼロ点だからだ。

    だから協力する。
    いや、正確には――
    協力せざるを得ない。

    ここにある読み合いは、
    相手を貶めるためのものではない。
    役を成立させるための読み合いだ。

    誰かが流れを作り、
    誰かがそれに乗り、
    それでも、全員が報われるわけではない。

    役が完成した、その瞬間。
    協力は、意味を変える。

    同じ波を作ったはずなのに、
    その波に乗れる者と、
    弾き飛ばされる者に分かれる。

    このゲームにおける協力は、
    勝つための協力ではない。

    舞台を整えるための協力。
    その舞台の上で、
    最後に光を浴びるのは、ほんの一部だ。

    静かで、鋭く、そして強烈に記憶に残る。
    そんな一作である。


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  • 沈黙に寄り添うガム。話題提供カードゲーム『ガムトーク』の話

    沈黙に寄り添うガム。話題提供カードゲーム『ガムトーク』の話

    沈黙にガムを噛ませろ。話題提供カードゲーム『ガムトーク』レビュー

    会話が止まったとき、人はだいたいスマホを見る。
    けれど、このガムがあれば、少し違う未来がある。

    今回紹介するのは、ガムのパッケージにそっくりな話題提供カードゲーム
    『ガムトーク』

    動画では、このゲームを実際に使用しながら、投稿者がエピソードトークを披露。
    「ゲーム」という言葉から想像する勝ち負けや戦略とは、少し違う位置にある作品だ。


    ガムトークとは?

    • 商品名:ガムトーク
    • 見た目:ガム箱そっくりのパッケージ/板ガムサイズのカード
    • コンセプト:勝敗のない、話題提供ツール

    箱に書かれたキャッチコピーは、
    「サラバ沈黙 ヨウコソ話題」

    この言葉通り、ガムトークは「沈黙を埋める」ための道具だ。
    ただし、力づくでではない。


    ルールはとてもシンプル

    箱からカードの束を取り出し、軽くシャッフルする。

    カードの表面には①〜⑥の番号とトークテーマが書かれている。

    (例:スーパーマーケットの話/シャンプーの話/職務質問された話 など)

    1. 山札の一番上を1枚めくり、場に置く
    2. 山札の裏側に書かれた数字(①〜⑥)を確認
    3. 該当する番号のテーマについて話す

    本来のルールでは、話し終えたあとに
    「いい話や」と肯定するのがセットになっている。
    この一言が、場の空気をやわらかくする。


    動画内の実演エピソード

    動画では、実際にカードを引いてトークを実演。
    引かれたテーマは 「② 目の話」

    語られたのは、投稿者がボードゲーマーだった頃のエピソード。
    元カノと名作ボードゲーム
    『AZUL(アズール)』 を遊んだときの話だ。

    盤面を見つめ、戦略を練る投稿者。
    結果は初心者だった元カノの勝利。

    しかし返ってきたのは、
    「私の目、全然見てないよね?」
    という言葉。

    ボードゲームは盤面を見るもの。
    映画はスクリーンを見るもの。
    それでも彼女にとって大事だったのは、
    「目を見つめ合うこと」だった。

    そんな価値観のズレを、笑いと自虐を交えて語る。
    ガムトークがあるからこそ、
    自然に引き出されたエピソードだった。


    感想:このガムトークという道具について

    このガムトークは、ゲームというよりも
    コミュニケーションツールに近い存在だと思った。

    勝ち負けもなく、上手い下手もない。
    だからこそ、ルールはきっちり守るものではなく、
    その場に合わせて、臨機応変でいい。

    大切なのは、話すことを「正解」にしないことだ。

    沈黙が怖くて用意したゲームが、
    いつの間にか誰かにとっての負担になってしまう。
    そんな展開も、残念だけれど起こり得る。

    特にこのゲームが出てくるのは、
    人が集まった瞬間、空気がまだ固まりきっていないタイミング。
    つまり、断りにくい瞬間でもある。

    だからこそ、始める前に、ほんの一言があってほしい。

    「話せなかったら、テーマを何回変えてもいいよ」
    「無理に話さなくても、聞いてくれているだけで大丈夫だよ」

    その一言があるだけで、
    このゲームは“沈黙を壊す道具”ではなく、
    “沈黙に寄り添う道具”になる。

    話してもいい。
    話さなくてもいい。

    ただ、そこに一緒にいるためのきっかけとして。
    このガムトークは、
    そんな使われ方が一番似合っている気がした。


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  • 可愛い顔した、知性の消耗戦。 『エージェント・アベニュー』という名の心理追跡劇

    可愛い顔した、知性の消耗戦。 『エージェント・アベニュー』という名の心理追跡劇

    2025年最強2人用心理戦ボードゲーム『エージェント・アベニュー (Agent Avenue)』完全解説

    今年プレイしたボードゲームの中で、私が「圧倒的に面白かった」と断言できる作品があります。
    それが『エージェント・アベニュー (Agent Avenue)』です。
    もしあなたがボードゲームを1つだけ買うとしたら、間違いなくこれをおすすめします。


    ゲーム概要

    プレイ人数:2人用

    ジャンル:心理戦、すごろく、セットコレクション

    テーマ:スパイ同士の追いかけっこ。相手の動きを読みつつ、自分のゴールを目指す。

    勝利条件:

    • 相手のコマを捕まえる(追い抜く位置や同じマスに移動)
    • 特定カード効果(暗号解読者)で即勝利
    • 相手が特定カード効果(命知らず)で自滅する

    ゲームの核心:心理戦と手札のジレンマ

    このゲーム最大の特徴は、「ケーキの切り分け問題(I cut, you choose)」と
    「手持ち枚数によるカード効果変化」を組み合わせた心理戦です。

    手番の流れ(交互に進める)

    カード選択
    手札(常に4枚)から2枚を選ぶ。1枚は表向き(オープン)、もう1枚は裏向き(クローズ)で提示。

    カード受け取り
    相手がどちらか1枚を選ぶ。選ばれなかった方は手番プレイヤーが獲得。

    移動
    獲得したカードの効果に従い、コマを進める。

    補充
    山札からカードを引き、常に手札4枚に。


    移動力の決定方法

    カードは色(種類)ごとに並べます。
    同じ種類の枚数によって、進むマスが変化します。

    • 1枚目:カードの一番上の数字分進む
    • 2枚目:真ん中の数字分進む
    • 3枚目:一番下の数字分進む

    つまり、相手にとってはゴミカードでも、
    自分が取れば一気に加速する「神カード」に変わることがあります。


    特殊カードの例

    二重スパイ(キツネ)
    1枚目:-1(下がる)
    2枚目:6(爆走)
    3枚目:-1
    → 相手に2枚目を渡すと逃げ切られるジレンマ。

    命知らず(オオカミ/犬)
    3枚目:「×」で即敗北

    暗号解読者(フクロウ)
    3枚目:「チェックマーク」で即勝利


    究極の心理戦の一例

    動画では投稿者が、表のリスと裏の謎カードで脳内葛藤を実演しています。

    • 表のリス:2枚目なら2マス進める、有利
    • 裏のカードがキツネなら、相手に渡すと6マス進む
    • 命知らずだったら、自分が取ると即敗北
    • 暗号解読者だったら、相手に渡すと即勝利

    結論:相手に何を押し付け、自分は何を取るか、
    カードカウンティングと読み合いが毎ターン発生します。


    感想

    追いかけっこ。
    童心に帰って?
    いや……帰らない。

    そこにあるのは、
    無邪気さではなく、疑念だ。
    笑顔の裏で計算が走り、
    一歩進むたびに、誰かの思惑が崩れていく。

    謀略が渦巻く、
    大人の追いかけっこ。
    それが――
    『エージェント・アベニュー』。

    街中を走り回るスタミナはいらない。
    息を切らすのは足ではなく、脳だ。
    必要なのは、知のスタミナ。
    相手の裏を読む力、
    そして
    「読まれているかもしれない」と
    疑い続ける胆力。

    相手の目を見るな。
    読まれるぞ。

    沈黙も、ためらいも、
    視線の揺れすら、すべてが情報になる。
    ここでは一瞬の迷いが、
    勝利にも、
    破滅にも、
    直結する。

    このゲームでは、
    追っているつもりが、
    いつの間にか追われている。
    逃げ切ったと思った瞬間、
    背後に気配を感じる。
    その逆も、また然り。
    立場は静かに、
    だが確実に反転する。

    カードを差し出す。
    表と裏。
    選ばせているようで、
    選ばされている。

    相手に渡した一枚が、
    次の瞬間、
    自分の首を絞める刃になることもある。

    そして――
    手に入れた、その瞬間。
    条件が揃えば、
    距離も、理屈も、
    すべてを無視して。

    即、勝利。
    あるいは、
    即、敗北。

    そんなカードが、
    確かに、ここには存在する。

    心理 VS 心理。
    読み合い VS 読み合い。
    この勝負に、情けはない。

    ゲームを終えたあと、
    盤面は静まり返っているのに、
    頭の中だけが、まだ走り続けている。
    まるで世界を駆け抜けた後のような爽快感と、
    遅れてやってくる、深い息切れ。

    これは、
    可愛い見た目をした、知性の消耗戦だ。
    そして間違いなく、
    2人用ボードゲームという枠を超えた、
    心理の追いかけっこである。


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  • もしもFF7がファミコンで発売されていたら ――8bitで描かれる「ニブルヘイムの約束」

    もしもFF7がファミコンで発売されていたら ――8bitで描かれる「ニブルヘイムの約束」

    もしもFF7がファミコンで発売されていたら
    ――8bitで蘇る「ニブルヘイムの約束」

    最近のゲームは、やたらと派手で、やたらとリアルだ。
    光は眩しく、世界は実写に近づき、感情は演出で「説明」される。

    別にそれを嫌っているわけではない。
    むしろ、そのリアリティに感動することの方が多い。これは事実だ。

    だが、この動画を見つけた瞬間、
    私は派手さではなく、レトロという静けさに強く惹かれた。


    ファミコン時代に存在しなかったFF7というファンタジー

    今回紹介するのは、
    『ファイナルファンタジーVII』が、もしもファミリーコンピュータ(8bit機)で発売されていたら?
    という想定で制作された、ファンメイドのデメイク映像だ。

    描かれているのは、物語の核心に触れる回想シーン、
    「ニブルヘイムの給水塔での約束」

    そもそもFF7は、ファミコン全盛期には存在していない。
    だからこの映像は、過去の再現ではない。

    存在しなかった歴史を、あたかも思い出すかのように描く――一種のファンタジーなのだ。


    オープニングと酒場の会話

    動画は、黒背景にシンプルな文字で表示される
    「FINAL FANTASY 7」のタイトル画面から始まる。

    場面は酒場へ。
    ファミコン風のドット絵で描かれたティファが、
    客として訪れたクラウドに静かに声をかける。

    「おかえりなさい」

    会話は淡々としている。
    ティファは、ソルジャーになったクラウドを誇りに思いながらも、
    遠くへ行ってしまうことへの不安を滲ませる。

    一方、クラウドは言う。

    「ふつうさ」

    強がり。
    虚勢。
    そして、まだ自分の感情を言葉にできない若さ。

    派手な演出はない。
    表情差分もない。
    それでも分かってしまう。

    ――この二人は、もう同じ場所に立っていない。


    星空と給水塔 ――8bitで描かれる「約束」

    暗転の後、画面いっぱいに広がる星空。
    限られた色数で描かれた夜空は、
    なぜか現代のどんな高精細グラフィックよりも、遠く、深く感じられる。

    画面が下へとパンし、現れるのはニブルヘイムの給水塔。
    その上には、回想の中のクラウドとティファが並んで座っている。

    そして表示される、たった一行。

    「ほら、村の給水塔、覚えてる?」

    FF7を知っている人間なら、この言葉の重さが分かるはずだ。
    それは思い出話ではない。

    約束であり、後悔であり、守れなかった未来そのものだ。


    感想:これはデメイクではない、「記憶の再構築」だ

    派手さはない。
    感情を煽ることもしない。
    それなのに、不思議と記憶に結びつく。

    これはきっと、
    昔の記憶が、レトロというフィルターを通して美化されているからなのだと思う。

    レトロとは、懐古ではない。
    時間に削られ、必要な部分だけが残った「記憶の形」だ。

    この動画は、
    FF7という物語の感情を、最小単位まで削ぎ落とし、
    8bitという器に丁寧に注ぎ込んでいる。

    もし本当に、ファミコン時代にFF7が存在していたなら。

    この星空は。
    この給水塔は。
    この一行のセリフは。

    きっと今も、
    誰かの心のセーブデータに、静かに残り続けていただろう。


    動画はこちら


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  • なぜGなのか。──ボードゲーム『ALIEN G』が暴く、性格の悪さという才能

    なぜGなのか。──ボードゲーム『ALIEN G』が暴く、性格の悪さという才能

    性格の悪さ、才能です。──ボードゲーム『ALIEN G(エイリアンG)』レビュー

    「人が嫌がることを、進んでやれ。」
    このキャッチコピーを見て、嫌な予感がした人は正しい。

    だが、このゲームが試しているのは人格ではない。
    戦略としての“性格の悪さ”だ。

    ゲーム概要

    • ゲーム名:ALIEN G(エイリアンG)
    • プレイ人数:2人 / 4人(4人時はチーム戦)
    • 勝利条件:ゲーム終了時、最も得点が高いプレイヤー
    • 特徴:押し付け合い・心理戦・逆転得点

    基本ルールと流れ

    ゲームは3×3のボードを使って行われる。
    各手番、プレイヤーは山札からタイルを1枚引き、
    自分の正面にある3列のうち1列を選び、手前から押し込む。

    すると、ところてん方式で反対側からタイルが1枚押し出される。

    押し出されたタイルは、列の正面にいるプレイヤーの手元に置かれる。
    つまり、相手にタイルを送りつけるゲームだ。

    この手順を繰り返し、各プレイヤーの手元に8枚のタイルが揃ったらゲーム終了。

    このゲーム最大の特徴:得点のねじれ

    ALIEN Gでは、
    自分が集めたタイルは自分の得点にならない。

    得点になるのは、
    自分の正面にいるプレイヤーが持っているタイルだ。

    つまり、自分が押し出して相手に送り込んだタイルこそが、
    自分の得点源になる。

    相手の手元は、あなたの得点置き場。
    相手をどうコントロールするかが勝敗を分ける。

    セットコレクションと嫌がらせ

    タイルはセットコレクション方式で得点化される。

    • 特定の枚数で高得点
    • 中途半端な枚数は0点
    • 王冠や卵アイコンによるボーナス得点

    「あと1枚で高得点になる」
    「このままだと0点になる」

    そうした状況がすべて公開情報で進行するため、
    狙い撃ちの妨害が成立する。

    感想

    なぜGなのか。
    なぜ、よりによってGなのか。

    G。
    それはゴキブリ。
    黒い悪魔。
    人類が団結できる、数少ない共通認識。

    この世界に宗教や文化の違いはあっても、
    「Gが出たら悲鳴をあげる」という点だけは、
    驚くほど一致している。

    だからこそ、もう一度問いたい。
    なぜGなのか。

    例えばPならどうだろう。
    P=ピッグ。
    紅い豚。
    格好いい。
    ロマンもある。
    だが、どこか別の物語が始まってしまう。

    違う。
    このゲームに必要なのはロマンではない。
    嫌悪だ。

    ところが、このG。
    憎むべき存在のはずのGが、
    どういうわけか――
    可愛い。

    目がある。
    丸い。
    ポップだ。

    このデザインを作った人間は、
    間違いなくGを観察し、
    そして、理解し、
    最後には――
    愛してしまった人だ。

    嫌われ者を、
    ここまで無防備な姿に描けるのは、
    愛情以外に説明がつかない。

    このゲームは、
    最初から最後まで、
    隠し事ができない。

    盤面は見えている。
    相手の手元も見えている。
    そして、
    自分が何を狙っているのかも、
    驚くほど見えている。

    「それ、集めてるよね?」
    無言の視線が突き刺さる。

    もし相手が善人なら、
    道は開ける。
    だが、ここに集まっているのは、
    勝ちたい人間だ。

    善意はない。
    あるのは、
    計算された悪意だけだ。

    このゲームの残酷さは、
    たった8枚という制限に凝縮されている。

    8枚。
    やり直しが効くには、
    あまりにも少ない。

    「途中で方針を変えよう」
    そう思った瞬間、
    もう枠が埋まり始めている。

    積み上げた計算は、
    一手の邪魔で崩れ落ちる。

    頼むから、
    そのタイルを送らないでくれ。

    そう願うほどに、
    相手はそれを送ってくる。

    なぜなら――
    それが正解手だからだ。

    これは協力ゲームではない。
    対戦ゲームだ。
    そして、
    遠慮した者から脱落する。

    勝ちたいなら、
    性格の悪さを隠すな。
    むしろ、
    磨け。

    相手が嫌がる未来を想像し、
    それを、
    最短距離で現実にする。

    ALIEN Gは、
    可愛い顔でそれを要求してくる。

    ゲームが終わったあと、
    盤面には何も残らない。
    だが、
    心には確実に何かが残る。

    「やられた」
    「してやった」
    「次はこうしてやる」

    この感情こそが、
    ALIEN Gの正体だ。

    黒い悪魔は、
    外にいるのではない。
    テーブルの向こう側にいる。

    そして、
    それは――
    あなた自身かもしれない。

    プレイ動画

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    記憶を信じるな、笑え|『That’s Not A Hat(ザッツ・ノット・ア・ハット)』レビュー

    The Game GalleryのHAL99さんによるレビュー動画をもとに、
    ボードゲーム『That’s Not A Hat(ザッツ・ノット・ア・ハット)』の魅力をまとめました。

    記憶力×ブラフというシンプルな構造ながら、
    遊んだあとに不思議な余韻を残す、非常に完成度の高いパーティーゲームです。

    動画の概要・要約

    カードには、靴・カラーコーン・ステッキ・ハムサンドなど、
    子供が描いたような、極めてシンプルで緩いイラストが描かれています。

    ゲームは「プレゼント(カード)」を隣へ渡していくだけ。
    ただし、そのカードが何だったかを覚えていなければならないという制約があります。

    最初は覚えているつもりでも、カードが裏向きで行き交ううちに記憶は曖昧になり、
    自信満々の嘘、本当のことなのに疑われる宣言が飛び交う、混沌とした展開に。

    HAL99さんも
    「人間は思ったより覚えられない」
    「しかも、みんな覚えていない」
    という状況そのものが、とにかく笑えると高く評価しています。

    ゲームの流れ(簡易まとめ)

    • 各プレイヤーの前にカードを1枚、表向きで置いて全員で確認・記憶
    • 山札からカードを引き、絵柄を宣言して裏向きで隣のプレイヤーへ渡す
    • 受け取った側は「信じて受け取る」か「チャレンジする」かを選択
    • チャレンジ結果に応じて、宣言者か疑った側がペナルティ
    • 規定枚数のペナルティカードでゲーム終了

    感想

    人は、何を覚えて、何を忘れるのか。
    そんな問いを、こんなにも軽やかに、
    こんなにも残酷に突きつけてくるゲームがある。
    『ザッツ・ノット・ア・ハット』だ。

    記憶力ゲーム、と聞いて身構える必要はない。
    このゲームは、努力を裏切る。
    なぜなら、覚える対象そのものが、
    驚くほど、覚えにくい。

    カードに描かれているのは、
    靴、カラーコーン、ステッキ、ハムサンド。
    どれも見たことがある。
    どれも説明できる。
    だが、どれも心に引っかからない。

    特徴がない。
    物語がない。
    感情が乗らない。

    つまり――
    記憶に残る理由が、どこにもない。

    そして、このゲームは言う。
    「さあ、覚えろ」と。

    当然のように、忘れる。
    信じられないほど、簡単に。
    一手、二手、三手。
    たったそれだけで、
    さっきまで確かにあったはずの記憶は、
    霧のように消えていく。

    気づけば、ゲームよりも先に、
    自分自身への不安が立ち上がる。

    「こんなに覚えられなかったっけ?」
    「私、こんなに曖昧だったか?」

    ここからが、このゲームの本番だ。

    相手がカードを差し出し、宣言する。
    「これは〇〇です。」

    それは、ブラフなのか。
    ――いや、本当にブラフなのか?
    もしかすると、相手もまた、
    自分と同じ深淵を覗いているだけなのではないか。

    嘘をついているのか。
    忘れているだけなのか。
    その違いを、誰も証明できない。

    確かなのは、
    自分も、覚えていないという事実だけだ。

    やっていることは、ただひとつ。
    カードを覚える。
    それだけだ。

    ルールは簡単。
    説明は一瞬。
    なのに、思考は混乱し、判断は揺らぐ。

    このゲームは、
    「記憶力」を試しているのではない。
    記憶に頼ろうとする、人間の危うさを暴いている。

    そして、もうひとつ。
    このゲームが決定的に優しい点がある。

    カードを渡す相手は、
    矢印によって、機械的に決められている。

    誰かを狙う必要はない。
    誰かに狙われていると感じる必要もない。
    ここには、悪意の居場所がない。

    あるのは、
    システムに翻弄される、平等な人間だけだ。

    だからこそ、
    このゲームは痛くない。
    苦しくない。
    ただ、笑える。

    忘れることも、疑うことも、
    信じてしまうことも、
    すべてが自分の内側で完結する。

    『ザッツ・ノット・ア・ハット』は、
    勝敗を競うゲームではない。

    これは、
    「人は、何を覚えて生きているのか」
    その輪郭を、
    ぼんやりと、しかし確かに浮かび上がらせる装置だ。

    遊び終わったあと、
    ペナルティカードの枚数よりも先に、
    ひとつの感覚が残る。

    ――覚えていると思っていたものほど、
     実は、いちばん脆かったのだと。

    笑いながら、
    少しだけ、自分を疑う。

    それが、
    『ザッツ・ノット・ア・ハット』という体験なのだ。

    紹介動画

    商品リンク

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    (2025/12/25 12:04時点)
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  • 白い靴下がスノーマンになる日 ― 簡単DIYがくれる、手作りの温度

    白い靴下がスノーマンになる日 ― 簡単DIYがくれる、手作りの温度


    靴下1枚で作れる!初心者でも簡単な「雪だるま人形」DIY

    感想

    白い靴下が、スノーマンになる。
    そんな冗談みたいな話が、ここでは本気で起きている。

    ハンドメイドと聞くと、
    私たちは無意識に「ゼロから」を求めてしまう。
    布を選び、型紙を引き、寸分違わず仕上げていく――
    それこそが“正しい手作り”だと。

    でも、この動画は言う。
    「もう、始まっているよ」と。

    靴下を手に取った瞬間、
    作業はすでに半分終わっている。
    それは手抜きじゃない。
    完成形を信じた、潔い近道だ。

    「簡単=クオリティが低い」
    その固定観念を、
    このスノーマンは笑顔で壊してくる。

    可愛い。
    言い訳なしに、ちゃんと可愛い。
    しかも、誰にでも手が届く場所にいる。

    途中、ほんの一瞬だけ立ち止まる。
    針と糸。
    初心者にとって、これは小さな壁だ。
    指先に集中し、
    “失敗”という言葉が頭をよぎる。

    でも、恐れる時間は長く続かない。
    なぜなら、ゴールが見えているからだ。
    完成した姿が、
    もう頭の中に立っているからだ。

    綿を詰め、
    表情が生まれ、
    チークが乗った瞬間――
    それはもう「物」じゃない。

    命が、入る。

    不思議なことに、
    ハンドメイドは作っている人だけでなく、
    見ている人の心まで温める。

    このスノーマンは、雪じゃない。
    溶けない。
    冷たくない。
    むしろ、触れた人の温度を覚える。

    もし誰かにプレゼントしたなら、
    それは“飾り”じゃなく、
    あなたの時間と気持ちを包んだ存在になる。

    完璧じゃなくていい。
    歪んでいてもいい。
    縫い目が少し曲がっていてもいい。

    それは、
    誰かが手を動かした証拠だから。

    この動画が教えてくれるのは、
    「上手に作る方法」じゃない。
    「作っていい理由」だ。

    白い靴下がスノーマンになる。
    それは、
    日常がほんの少し、
    優しく変わる瞬間の話だ。


    動画で見る|靴下スノーマンDIY


    用意する材料

    • 白い靴下(新品の安いものでOK)
    • ハギレ布(帽子・マフラー・服の模様用)
    • 中綿(ぬいぐるみ用)
    • 黒いビーズ 2個(目用)
    • オレンジ色のフェルト or 厚紙(鼻用)
    • ファーのモール or 毛糸(帽子の縁取り用)
    • 赤いポンポン(飾り用)
    • 裁縫道具(針、白糸、黒糸、ハサミ)
    • グルーガン
    • チーク(頬の赤み用)

    作り方の手順

    ① 頭を作る(00:00〜)

    白い靴下を裏返し、つま先部分をカット。
    切り口をなみ縫い(ぐし縫い)し、綿をたっぷり詰めます。
    糸をギュッと絞って口を閉じ、玉止め。
    ふんわり丸い頭のベースが完成です。

    ② 顔を作る(01:10〜)

    黒いビーズをバランスよく配置し、グルーガンで接着。
    口と眉は下書き後、黒糸で刺繍します。
    鼻はオレンジ色のフェルトを円錐状にして中央へ。

    ③ 帽子を作る(03:45〜)

    ハギレ布を三角形に縫い、裏返して帽子にします。
    先端に少し綿を入れ、頭に固定。
    縁にファーを付けると可愛さが引き立ちます。

    ④ 胴体を作る(08:03〜)

    靴下のかかとから足首部分を筒状にカット。
    綿を詰めて両端を絞り、雪だるまらしい胴体に。

    ⑤ 腕を作る(09:10〜)

    余った靴下を使い、小さな腕を2本作ります。

    ⑥ 組み立て&服作り(11:00〜)

    頭と胴体を縫い付け、腕を左右に取り付けます。
    布を巻いてベスト風にし、ボタンを付けてアクセントに。

    ⑦ 仕上げ(11:56〜)

    マフラーを巻き、チークで頬をほんのり色付け。
    世界にひとつだけの雪だるま人形が完成です。


    おすすめアイテム


    まとめ

    靴下1枚から生まれる、素朴で温かみのある雪だるま。
    クリスマスや冬のインテリアはもちろん、
    プレゼントやワークショップにもぴったりの作品です。

    「難しそう」と思っていたハンドメイドも、
    身近な素材と少しの工夫で、こんなに楽しくなる。


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  • 裏切りはマナーです 『ジャックたちと豆の木レース』レビュー

    裏切りはマナーです 『ジャックたちと豆の木レース』レビュー


    協力か、裏切りか。燃やすか、乗るか。
    童話ボードゲーム『ジャックたちと豆の木レース』徹底解説

    童話『ジャックと豆の木』。
    豆を植え、木を伸ばし、雲の上の宝を目指す――
    そんなロマンあふれる物語が、疑心暗鬼と破壊に満ちたレースゲームになったとしたら?

    それが今回紹介する
    『ジャックたちと豆の木レース』です。

    このゲーム、見た目は童話。
    中身は――
    協力と裏切りが常に隣り合わせの、ハラハラ系レースゲーム。

    🎥 動画の内容要約

    プレイヤーはそれぞれ「豆」からスタートし、
    カードを使って豆の木を伸ばし、雲の上を目指します。

    • 他人の木に相乗りして楽をする
    • わざと変な方向に伸ばして進路を妨害する
    • 斧で切る
    • たいまつで燃やす

    ――そう、直接攻撃ありです。

    「みんなで繋げば早い」
    「でも、誰か一人の裏切りで全てが崩れる」

    この協力するほど危険になる構造こそが、
    本作最大の魅力です。

    📖 ルール解説

    1. ゲームの目的

    豆の木を伸ばして雲の上に到達し、宝(得点)を集めること。
    最終的に、もっとも多くの得点を獲得したプレイヤーが勝者となります。

    2. 手番でやること

    • カードを1枚出す
    • もしくはパスする

    たったこれだけ。
    だからこそ、1枚の選択が重い。

    3. カードの種類と効果

    🌿 木カード(移動・配置)

    • 数字(1〜3)の分だけコマを進める
    • 他人の木につなげて配置可能

    🛠 アイテムカード(特殊効果)

    • 🪓 オノ:木カードを1枚破壊
    • 🚿 ジョウロ:連続配置+たいまつ防御
    • 🔥 たいまつ:豆からつながる全ての木を焼却

    4. 雲の上への到達(イベント)

    • 🐥 鶏(金の卵):3点獲得
    • 🎻 ハープ:5点獲得&即終了
    • 👹 巨人:悪夢の始まり

    5. 巨人が出たらどうなる?

    巨人とつながっている木の上にいるプレイヤーは、
    全員スタート(豆)へ逆戻り。

    さらに、つながりを切れなければ脱落。
    協力の道は、一瞬で全員を巻き込む罠になります。

    6. 得点計算(ボーナス)

    宝(雲)から豆(地面)まで道がつながっているプレイヤーは、
    🕊 青い鳥の数だけ追加得点を獲得します。

    感想

    ジャックと豆の木。
    誰もが知っている、あまりにも有名な童話だ。

    豆を植え、
    木を伸ばし、
    雲の上の宝を目指す――
    本来なら、夢と冒険の物語のはずだった。

    だが、このゲームはこう名乗る。
    『ジャックたちと豆の木レース』。

    ……たち?
    誰だ、その「たち」は。

    考えるまでもない。
    全員がジャックなのだ。

    このテーブルに座った瞬間から、
    あなたもジャック。
    わたしもジャック。
    隣にいるその人も、もちろんジャック。

    ここは物語の再現ではない。
    真のジャックを選別するための競技場だ。

    豆の木は、ただ伸ばせばいいわけじゃない。
    誰かと繋げば速くなる。
    誰かに乗れば楽ができる。
    だが、繋がった瞬間――
    その木は、全員の命綱になる。

    そして命綱というものは、
    切るためにある。

    斧。
    たいまつ。

    冷静に考えてほしい。
    人が登っている木に、
    その二つを向けるゲームが、
    他にあるだろうか。

    ない。
    これはもう童話ではない。
    現場検証案件だ。

    燃やした側は笑う。
    切られた側も、次の瞬間には
    同じカードを引き、
    同じ目をする。

    ここでは、
    裏切りは戦術であり、正解であり、マナーですらある。

    怖いのは、巨人じゃない。
    人だ。

    このゲームが競わせていたのは、
    足の速さでも、運でもない。

    どれだけ躊躇なく、人を切れるか。

    豆の木より高く伸びるのは、疑念だ。
    そして今日もまた、どこかのテーブルで、
    新しいジャックが生まれている。

    商品情報・購入リンク


    ▶ 『ジャックたちと豆の木レース』をチェックする

  • タサン志麻さんの最強常備菜 水分を抜くだけで別物になる「基本のキャロットラペ」

    タサン志麻さんの最強常備菜 水分を抜くだけで別物になる「基本のキャロットラペ」


    水分を制する者が、人参を制す|タサン志麻さん直伝「基本のキャロットラペ」

    キャロットラペ。
    フレンチの定番でありながら、作り方は千差万別。
    だが今回紹介するのは、伝説の家政婦・タサン志麻さんが教える
    最もシンプルで、最も日持ちする「基本形」だ。

    ポイントはただ一つ。
    「塩で水分を抜き、オイルの前に味を決める」
    それだけで、キャロットラペは別物になる。

    紹介動画

    🥕 タサン志麻さんの「基本のキャロットラペ」

    材料

    • ニンジン:3本(太め推奨)
    • 塩:強め(3つまみ程度〜)
    • レモン:1/2個〜1個(好みで)
    • オリーブオイル:大さじ3〜4

    作り方の要点

    1. ニンジンはスライサーで一定方向に千切り
    2. 塩を強めに振り、しっかり塩もみして水分を出す
    3. 手でギュッと水分を絞る
    4. オイルを入れる前に必ず味見して塩加減を決める
    5. レモンとオリーブオイルを加えて完成

    水分を抜くことで、味が薄まらず、冷蔵庫で2〜3日保存可能。
    食べる直前にナッツやレーズン、ツナを足しても良い。

    感想

    トマト、ピーマン、そして人参。
    子供が嫌いな野菜TOP3。
    給食の皿の上で、最後まで残されがちな三銃士だ。

    だが、このキャロットラペは人参だけ。
    逃げ場はない。
    これはもう――人参からの正式な挑戦状である。

    送り返すこともできる。
    冷蔵庫の奥にしまい込み、
    「明日の自分」に処理を委ねることもできる。

    だが、受けて立とう。
    なぜなら、この人参は
    ただの人参ではないからだ。

    人参といえば、薬膳を思わせる独特の風味。
    土の記憶。
    根菜の主張。
    この“真面目すぎる香り”が苦手な人は多い。

    だが、キャロットラペでは話が変わる。

    まず立ち上がるのは、人参本来の甘味。
    あとから追いかけてくる、キレのある酸。
    そして、噛んだ瞬間にわかる芯の通った歯ごたえ

    これは偶然ではない。
    間違いなく、塩の仕事だ。

    塩もみによって水分が抜ける。
    抜けるのは水だけではない。
    青臭さ、曖昧さ、逃げ道。
    それらが削ぎ落とされ、人参は“本音”だけを残す。

    そして起こるのが、凝縮。
    味の密度が一気に上がる。
    ぼんやりしていた存在感が、輪郭を持ち、前に出てくる。

    これはサラダではない。
    人参の再定義だ。

    一晩、冷蔵庫で眠らせた翌日。
    その真価は、静かに牙を剥く。

    味は馴染み、角は取れ、
    それでいて芯は折れていない。

    人参からの挑戦。
    受けるのは、確かに勇気がいる。

    だが、この戦いは不思議だ。
    勝ち負けでは終わらない。

    最後には、敵でもなく、克服でもなく、
    静かな友情で結ばれる――
    ……きっと。

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    ▼ スライサー(千切り器)

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    伝説の家政婦・タサン志麻さん直伝
    特別な日に作りたい「サーモンのパイ包み焼き(サーモン・ウェリントン)」

    クリスマスや記念日など、「今日はちゃんとご馳走を作りたい」日にぴったりな一皿。
    今回紹介するのは、伝説の家政婦・タサン志麻さんによる
    サーモンのパイ包み焼き(サーモン・ウェリントン)です。

    見た目はとても豪華ですが、工程は意外と理にかなっていて、
    ポイントさえ押さえれば家庭でも十分再現可能。
    中身のアレンジも自由なので、「ご褒美料理」としてもおすすめです。

    作り方動画

    材料(1台分)

    メイン

    • サーモン(刺身用サク):厚みのあるもの(約170g)
    • 冷凍パイシート:正方形1枚(長方形なら2枚)
    • 卵黄:1個分(接着・ツヤ出し用)

    フィリング(中身)

    • ほうれん草:1束
    • きのこ:しいたけ・しめじ・マッシュルームなど
    • 油・バター:適量(きのこ炒め用)

    魚介のムース(美味しさの決め手)

    • 白身魚の刺身(鯛など):100g
    • ホタテの刺身:90g前後
    • 卵白:1個分
    • 生クリーム:30g(なくても可)
    • 塩:ふたつまみ(約2g)
    • コショウ:少々

    ※手軽に作りたい場合は、はんぺんで代用してもOKとのこと。

    ソース

    ブールブランソース(白ワイン・酢・バター・レモン汁)がおすすめ

    作り方

    ① 下準備(とにかく水分を抜く)

    ここが一番重要な工程です。

    ほうれん草

    • 洗ってざく切り
    • 耐熱容器に入れて600Wで約2分加熱
    • 流水で冷やし、これでもかというほど強く絞る

    きのこ

    • 細かく刻む
    • フライパンで油を熱し、塩ひとつまみを振って炒める
    • 水分が出ても止めず、水気が完全に飛ぶまで炒める
    • バットに広げて冷ます

    ② 魚介のムースを作る

    • 白身魚とホタテを適当な大きさに切る
    • ミキサー(またはフードプロセッサー)に入れる
    • 卵白、生クリーム、塩、コショウを加え、なめらかになるまで撹拌

    ※ミキサーがなければ
    包丁で叩く → すり鉢で練る
    または はんぺんを袋で揉み潰す 方法でもOK。

    ③ サーモンの下処理

    • 表面の水分をキッチンペーパーで拭く
    • 両面に塩・コショウをややしっかりめに振る

    ④ パイシートで包む

    • オーブンを200℃に予熱
    • 解凍したパイシートの上半分を麺棒で少し伸ばす
    • 縁に水で溶いた卵黄を塗る(接着剤)

    具材を重ねる順番

    1. ほうれん草
    2. きのこ
    3. サーモン
    4. 魚介のムース(サーモンを覆うように)
    • 上半分のパイをかぶせ、空気を抜きながら密着
    • フォークの背で縁を押さえてしっかり閉じる

    ⑤ 焼成

    • 天板にオーブンシートを敷き、パイをのせる
    • 表面に卵黄を塗る(ツヤ出し)
    • 包丁の背で模様を描き、中央に空気穴を1箇所あける
    • 200℃で40〜45分焼く

    ※焼き色が強い場合はアルミホイルをかぶせて調整

    ⑥ 仕上げ

    • 焼き上がり後、すぐ切らずに少し休ませる
    • 切り分け、ソースを添えて完成

    感想

    パイ包みと聞いて、人は「生地で包む料理」を想像する。
    だが、よく考えてほしい。
    パイ生地とは、何層にも折り重ねられたバターの集合体だ。
    つまりこれは、生地で包んでいるのではない。
    バターで、世界を包んでいる。

    この料理を前にすると、
    「豊潤」という言葉が、急に現実味を帯びてくる。
    香り。
    脂。
    温度。
    そして、期待。
    すべてが、オーブンの中で静かに熟成されていく。

    中に収められているのは、主役のサーモンだけではない。
    ほうれん草の青さ。
    きのこの凝縮された旨味。
    そして魚介のムース。
    これがまた、ただの詰め物ではない。
    サーモンを守る鎧であり、旨味を増幅させる装置だ。

    切る前から、すでに料理は語りかけてくる。
    「焦るな」と。
    「まだだ」と。
    そしてナイフを入れた、その瞬間――
    パイが割れ、香りが解放される。
    閉じ込められていた海と森が、一気に立ち上がる。

    サーモンのホイル焼きを作ったことがある人なら、
    あの「包んだからこそ生まれる香り」を知っているだろう。
    この料理も同じだ。
    いや、正確には――それ以上。
    パイという装甲が、香りを逃がさない牢獄となり、
    切り分けた瞬間、そのすべてを解き放つ。

    そして、そこに添えられるのがブールブラン。
    フランスを代表する、酸とバターのソース。
    これをかけた瞬間、料理は家庭料理の枠を静かに越える。
    ――もう、後戻りはできない。

    サーモン・ウェリントン。
    手間は、かかる。
    だがその手間は、すべて味になる。
    そして何より――
    切った瞬間の空気まで、美味しい料理なのだ。

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