勝つために負けろ。情報で刺せ。
──ボードゲーム『FIXER(フィクサー)』レビュー
The Game Gallery の HAL99 さんによるレビュー動画で紹介された、
対戦型カードゲーム 『FIXER(フィクサー)』プロトタイプ版。
マストフォローと色の相性(3すくみ)を組み合わせた、
心理戦と駆け引きが濃密に絡み合う一作だ。
ゲーム概要
- ジャンル:対戦型カードゲーム(トリックテイキング+陣取り)
- プレイ人数:3~4人
- 特徴:負けることでカードと情報を得る逆転構造
- 雰囲気:ノワール調の渋いアートワーク
両隣のプレイヤーと同時にカードを出し合い、
「同色=数字勝負」「異色=相性 or 先手有利」という
複数の勝利条件が絡み合う。
ルール要点まとめ
■ マストフォロー
すでに相手のカードがある場所にカードを出す場合、
同じ色を持っていれば必ずその色を出さなければならない。
■ 勝敗判定
- 同色:数字が大きい方が勝利
- 弱点関係:弱点色を突かれた側が即敗北(高得点)
- 相性なし:先に出した先手が勝利
■ 勝敗後の処理
勝者は相手のカードを得点化。
敗者は勝者のカードを受け取り、手札に加えるか捨てるかを選ぶ。
感想
正直に言おう。
私は――トリックテイキングが苦手だ。
マストフォロー。
出された色に従え、逆らうな。
そのルールはいつも、私から「選ぶ自由」を奪ってきた。
出したいカードではなく、
出さされるカードを握らされている感覚。
自分でプレイしているはずなのに、
どこか操られているような、あの息苦しさ。
だから、FIXERも最初は警戒していた。
また同じかもしれない、と。
――だが、違った。
確かにマストフォローではある。
だが、このゲームで“勝った側”が得るのは、
相手の強さではない。
弱さだ。
負けた側のカード。
つまり、価値の低いはずのカードが、
勝者の手に回る。
この瞬間、常識がひっくり返る。
「勝つ=奪う」ではない。
「負ける=次の刃を仕込む」。
ここに、明確な戦略が生まれる。
さらに色の相性。
数字では明らかに弱いカードが、
相性ひとつで――
一撃必殺の高得点に化ける。
弱いカードで、致命傷を与える。
この背徳感。
この快感。
FIXERは、
トリックテイキングでありながら、
トリックテイキングの“正攻法”を裏切ってくる。
マストフォローで勝つのではない。
マストフォローの外側で勝敗が決まっていく。
読み合いは、盤面だけじゃない。
誰が何色を失ったか。
誰がどのカードを回収したか。
情報が、静かに、しかし確実に積み上がっていく。
ちなみに、
色の強弱関係が存在しない場合――
勝つのは先手。
ただ先に出した、
それだけで勝ちになる局面がある。
順番が、意志になる。
テンポが、そのまま暴力になる。
このルールがまた、いやらしくて、最高だ。
そして、デザイン。
派手さはない。
だが、渋い。
重い。
空気が黒い。
カードを出すたび、
「見られている」感覚がある。
一手が、性格を暴く。
迷いが、次の標的になる。
これは万人向けじゃない。
軽く遊ぶゲームでもない。
完全に、玄人好み。
トリックテイキングが苦手な私が、
それでも前のめりになった。
それが、このゲームの何よりの証拠だ。
FIXERは、
ルールで縛り、
情報で締め上げ、
最後は心理で息の根を止めに来る。
――静かで、残酷で、
そして、やたらと美しいゲームだった。
紹介動画(HAL99|The Game Gallery)
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