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  • 人は、何を覚えて生きているのか 『ザッツ・ノット・ア・ハット』感想・レビュー

    人は、何を覚えて生きているのか 『ザッツ・ノット・ア・ハット』感想・レビュー


    記憶を信じるな、笑え|『That’s Not A Hat(ザッツ・ノット・ア・ハット)』レビュー

    The Game GalleryのHAL99さんによるレビュー動画をもとに、
    ボードゲーム『That’s Not A Hat(ザッツ・ノット・ア・ハット)』の魅力をまとめました。

    記憶力×ブラフというシンプルな構造ながら、
    遊んだあとに不思議な余韻を残す、非常に完成度の高いパーティーゲームです。

    動画の概要・要約

    カードには、靴・カラーコーン・ステッキ・ハムサンドなど、
    子供が描いたような、極めてシンプルで緩いイラストが描かれています。

    ゲームは「プレゼント(カード)」を隣へ渡していくだけ。
    ただし、そのカードが何だったかを覚えていなければならないという制約があります。

    最初は覚えているつもりでも、カードが裏向きで行き交ううちに記憶は曖昧になり、
    自信満々の嘘、本当のことなのに疑われる宣言が飛び交う、混沌とした展開に。

    HAL99さんも
    「人間は思ったより覚えられない」
    「しかも、みんな覚えていない」
    という状況そのものが、とにかく笑えると高く評価しています。

    ゲームの流れ(簡易まとめ)

    • 各プレイヤーの前にカードを1枚、表向きで置いて全員で確認・記憶
    • 山札からカードを引き、絵柄を宣言して裏向きで隣のプレイヤーへ渡す
    • 受け取った側は「信じて受け取る」か「チャレンジする」かを選択
    • チャレンジ結果に応じて、宣言者か疑った側がペナルティ
    • 規定枚数のペナルティカードでゲーム終了

    感想

    人は、何を覚えて、何を忘れるのか。
    そんな問いを、こんなにも軽やかに、
    こんなにも残酷に突きつけてくるゲームがある。
    『ザッツ・ノット・ア・ハット』だ。

    記憶力ゲーム、と聞いて身構える必要はない。
    このゲームは、努力を裏切る。
    なぜなら、覚える対象そのものが、
    驚くほど、覚えにくい。

    カードに描かれているのは、
    靴、カラーコーン、ステッキ、ハムサンド。
    どれも見たことがある。
    どれも説明できる。
    だが、どれも心に引っかからない。

    特徴がない。
    物語がない。
    感情が乗らない。

    つまり――
    記憶に残る理由が、どこにもない。

    そして、このゲームは言う。
    「さあ、覚えろ」と。

    当然のように、忘れる。
    信じられないほど、簡単に。
    一手、二手、三手。
    たったそれだけで、
    さっきまで確かにあったはずの記憶は、
    霧のように消えていく。

    気づけば、ゲームよりも先に、
    自分自身への不安が立ち上がる。

    「こんなに覚えられなかったっけ?」
    「私、こんなに曖昧だったか?」

    ここからが、このゲームの本番だ。

    相手がカードを差し出し、宣言する。
    「これは〇〇です。」

    それは、ブラフなのか。
    ――いや、本当にブラフなのか?
    もしかすると、相手もまた、
    自分と同じ深淵を覗いているだけなのではないか。

    嘘をついているのか。
    忘れているだけなのか。
    その違いを、誰も証明できない。

    確かなのは、
    自分も、覚えていないという事実だけだ。

    やっていることは、ただひとつ。
    カードを覚える。
    それだけだ。

    ルールは簡単。
    説明は一瞬。
    なのに、思考は混乱し、判断は揺らぐ。

    このゲームは、
    「記憶力」を試しているのではない。
    記憶に頼ろうとする、人間の危うさを暴いている。

    そして、もうひとつ。
    このゲームが決定的に優しい点がある。

    カードを渡す相手は、
    矢印によって、機械的に決められている。

    誰かを狙う必要はない。
    誰かに狙われていると感じる必要もない。
    ここには、悪意の居場所がない。

    あるのは、
    システムに翻弄される、平等な人間だけだ。

    だからこそ、
    このゲームは痛くない。
    苦しくない。
    ただ、笑える。

    忘れることも、疑うことも、
    信じてしまうことも、
    すべてが自分の内側で完結する。

    『ザッツ・ノット・ア・ハット』は、
    勝敗を競うゲームではない。

    これは、
    「人は、何を覚えて生きているのか」
    その輪郭を、
    ぼんやりと、しかし確かに浮かび上がらせる装置だ。

    遊び終わったあと、
    ペナルティカードの枚数よりも先に、
    ひとつの感覚が残る。

    ――覚えていると思っていたものほど、
     実は、いちばん脆かったのだと。

    笑いながら、
    少しだけ、自分を疑う。

    それが、
    『ザッツ・ノット・ア・ハット』という体験なのだ。

    紹介動画

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  • トリックテイキングが嫌いな私が、前のめりになった理由 ──『FIXER(フィクサー)』レビュー

    トリックテイキングが嫌いな私が、前のめりになった理由 ──『FIXER(フィクサー)』レビュー


    勝つために負けろ。情報で刺せ。
    ──ボードゲーム『FIXER(フィクサー)』レビュー

    The Game Gallery の HAL99 さんによるレビュー動画で紹介された、
    対戦型カードゲーム 『FIXER(フィクサー)』プロトタイプ版
    マストフォローと色の相性(3すくみ)を組み合わせた、
    心理戦と駆け引きが濃密に絡み合う一作だ。


    ゲーム概要

    • ジャンル:対戦型カードゲーム(トリックテイキング+陣取り)
    • プレイ人数:3~4人
    • 特徴:負けることでカードと情報を得る逆転構造
    • 雰囲気:ノワール調の渋いアートワーク

    両隣のプレイヤーと同時にカードを出し合い、
    「同色=数字勝負」「異色=相性 or 先手有利」という
    複数の勝利条件が絡み合う。


    ルール要点まとめ

    ■ マストフォロー

    すでに相手のカードがある場所にカードを出す場合、
    同じ色を持っていれば必ずその色を出さなければならない。

    ■ 勝敗判定

    • 同色:数字が大きい方が勝利
    • 弱点関係:弱点色を突かれた側が即敗北(高得点)
    • 相性なし:先に出した先手が勝利

    ■ 勝敗後の処理

    勝者は相手のカードを得点化。
    敗者は勝者のカードを受け取り、手札に加えるか捨てるかを選ぶ。


    感想

    正直に言おう。
    私は――トリックテイキングが苦手だ。

    マストフォロー。
    出された色に従え、逆らうな。
    そのルールはいつも、私から「選ぶ自由」を奪ってきた。
    出したいカードではなく、
    出さされるカードを握らされている感覚。
    自分でプレイしているはずなのに、
    どこか操られているような、あの息苦しさ。

    だから、FIXERも最初は警戒していた。
    また同じかもしれない、と。

    ――だが、違った。

    確かにマストフォローではある。
    だが、このゲームで“勝った側”が得るのは、
    相手の強さではない。
    弱さだ。

    負けた側のカード。
    つまり、価値の低いはずのカードが、
    勝者の手に回る。
    この瞬間、常識がひっくり返る。

    「勝つ=奪う」ではない。
    「負ける=次の刃を仕込む」。
    ここに、明確な戦略が生まれる。

    さらに色の相性。
    数字では明らかに弱いカードが、
    相性ひとつで――
    一撃必殺の高得点に化ける。

    弱いカードで、致命傷を与える。
    この背徳感。
    この快感。

    FIXERは、
    トリックテイキングでありながら、
    トリックテイキングの“正攻法”を裏切ってくる。

    マストフォローで勝つのではない。
    マストフォローの外側で勝敗が決まっていく。

    読み合いは、盤面だけじゃない。
    誰が何色を失ったか。
    誰がどのカードを回収したか。
    情報が、静かに、しかし確実に積み上がっていく。

    ちなみに、
    色の強弱関係が存在しない場合――
    勝つのは先手。

    ただ先に出した、
    それだけで勝ちになる局面がある。
    順番が、意志になる。
    テンポが、そのまま暴力になる。

    このルールがまた、いやらしくて、最高だ。

    そして、デザイン。
    派手さはない。
    だが、渋い。
    重い。
    空気が黒い。

    カードを出すたび、
    「見られている」感覚がある。
    一手が、性格を暴く。
    迷いが、次の標的になる。

    これは万人向けじゃない。
    軽く遊ぶゲームでもない。

    完全に、玄人好み。

    トリックテイキングが苦手な私が、
    それでも前のめりになった。
    それが、このゲームの何よりの証拠だ。

    FIXERは、
    ルールで縛り、
    情報で締め上げ、
    最後は心理で息の根を止めに来る。

    ――静かで、残酷で、
    そして、やたらと美しいゲームだった。


    紹介動画(HAL99|The Game Gallery)


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  • それでもトランプでよくない?――そう思ってからが本番『レジサイド』レビュー

    それでもトランプでよくない?――そう思ってからが本番『レジサイド』レビュー


    トランプなのに、ボス戦。協力型カードゲーム『レジサイド(Regicide)』徹底レビュー

    見た目はただのトランプ。
    けれど中身は、息が詰まるほどシビアな協力型ボスラッシュゲーム

    The Game GalleryのHAL99さんのレビュー動画で紹介されていた
    『レジサイド(Regicide)』は、
    「トランプ1組でここまでできるのか」と驚かされる一作です。

    本記事では、レビュー動画の要約、詳しいルール解説、
    そしてナレーション風の感想をまとめて紹介します。


    🎥 レビュー動画(HAL99/The Game Gallery)


    ゲーム概要

    『レジサイド』は、通常のトランプデッキ(専用アートワーク)を使用した
    協力型カードゲームです。

    • ジャック(J)×4
    • クイーン(Q)×4
    • キング(K)×4

    合計12体の敵を、プレイヤー全員で倒すことが目的です。
    ルールはシンプルですが、プレイ感は完全にRPGのボス戦です。


    ゲームの準備と目的

    目的

    山札から現れる敵(J・Q・K)をすべて倒すこと。

    敵の山札

    • 一番下:キング(K)4枚
    • その上:クイーン(Q)4枚
    • 一番上:ジャック(J)4枚

    手札

    人数に応じた枚数を配ります(例:2人なら7枚)。
    ターン終了時の補充フェイズは存在しません。


    基本的なゲームの流れ

    1. カードを出して攻撃(数字=ダメージ)
    2. スート(マーク)の特殊効果を適用
    3. 敵の反撃(攻撃力分の手札を捨てる)

    ダメージを支払えなければ、その時点で全員敗北です。


    スート(マーク)の特殊効果

    • ♣ クローバー:攻撃ダメージ2倍
    • ♠ スペード:敵の攻撃力を数値分低下
    • ♦ ダイヤ:山札からカードを引く(唯一の補充)
    • ♥ ハート:捨て札を山札に戻す

    コンボとエース(A)のルール

    同じ数字のカードはまとめて出せます。数値は合算、効果はすべて発動。
    エース(A)は「1」として他のカードと組み合わせ可能です。


    敵の能力(スート無効化)

    敵と同じスートの特殊効果は無効化されます。
    ダメージは通るが、効果は出ません。


    倒した敵カードの扱い

    倒したJ・Q・Kは捨て札へ。
    ハートで戻し、ダイヤで引くことで味方として使えるようになります。


    🎤 感想

    このゲームは、優しくない。
    本当に、驚くほど優しくない。

    なぜか。
    理由は単純だ。
    レベルを上げている暇が、一切ないから。

    チュートリアルの顔をした猶予?
    ない。
    雑魚敵で肩慣らし?
    そんなものも、ない。

    来る敵、来る敵、すべてがボス。
    全員が「本気」で殴ってくる。
    一手のミスは、ミスでは済まない。
    それはそのまま、死だ。

    これは協力ゲームだ。
    確かに、全員で相談し、全員でカードを出す。
    だが――
    協力したからといって、勝てるとは限らない。

    運は、しっかり参加している。
    しかも控えめではない。
    遠慮も、情けもない。
    最悪のタイミングで、最悪のカードをよこしてくる。

    ジリ貧。
    首が締まる。
    手札が減る。
    それでも敵は、笑って立っている。

    そして使うカードは、まさかのトランプ。
    誰もが知っている、あのトランプだ。
    しかもこれ、普通にトランプとしても遊べる。

    ……ここで、気づいた人もいるだろう。
    「それなら、トランプでよくない?」
    「わざわざ買わなくてもいいのでは?」と。

    分かる。
    その気持ちは、分かりすぎるほど分かる。

    だが、それは言わない約束だ。
    ここでは、その問いは置いていけ。

    これはトランプじゃない。
    トランプの皮を被った、処刑場だ。

    勝った時の達成感は、軽くない。
    安くない。
    「たまたま勝った」なんて、口が裂けても言えない。

    だから言う。
    言葉を選ばずに言う。

    買ってくれ。
    覚悟を持って。
    レジサイドを。


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